月面に辿り着いたロランの耳に鈴の音が響く。ギンガナム率いる新たなモビルスーツ(バンデッツ&ターンX)からだ。この二機が待ち伏せ、攻撃を仕掛けてきた。
 ロランは「戦うつもりはない」と言うが、彼らは話を聞くつもりはなく、∀ガンダムのデータを戦いながら録っていくのだった。
 ロランは、ギンガナムがディアナに背いていることを問い詰めても、∀ガンダムが古代の宇宙文明を破壊した禁忌のモビルスーツで、大昔からターンXと∀ガンダムは戦いあっていたことを聞かされ、最初からまともに取り合わないことを悟るのだった。
 一方、ディアナはゲンガナム中に「自らが地球に滞在していた期間の法令を全て無効にする」と通達した。そしてアグリッパたちへ「冬の城で黒歴史の封印を解く」という通信を送る。
 通信を聞いたギンガナムは、地球人には黒歴史の意味は分からないと考える。アグリッパも同じだが、逃走のため、冬の城の女王専用宇宙港に戦艦を呼び寄せよ、とミドガルドに命じた。
 冬の城へ向かう通路を進むソシエとリリ、メシェーたちは、キエルとディアナが入れ替わっていたことを知って驚くが、平然と受け流すグエンに、ディアナは地球人に黒歴史が実感として分かるかと不安を抱く。ソシエはディアナの心労を気づき、キエルに話すのだった。
 一方、白の宮殿に横付けになったウィルゲムを守って戦うハリーにステロは毒吐く。
 この様子を見たフランは、ミハエルにハリーは信じられる人物だと説明し、彼の戦うその様を見て写真に撮り続け、ロランの行方を案じる。
 そのロランは、月面で2機のバンデッツの攻撃を受け、隙をついて一時逃れ気配を消していた。
 ディアナの親衛隊であるハリーを恐れたアグリッパは、冬の宮殿から空港へ向かうため、近道のデータルームを通った。彼らを追いかけるディアナたち。そこにミドガルドの歩兵部隊と、救出に来たエイムズたちのミリシャ陸戦隊が激突し、交戦状態になる。
 が、その時、キエルの制止の声が響いた。そしてディアナは黒歴史の封印を、グエン、アグリッパたちの前で解き放つのだった。
 ゲンガナムの運河の底が光り、ミハエルたちやフラン、ハリーたちの前で戦場の光景が映し出される。それは、かつての宇宙戦争を記録した膨大なデータ映像だった。
 ソシエたちはその映像の中で戦う白いモビルスーツの姿にホワイトドールを重ね見る。
 核戦争をも引き起こしたという人類の多くは、地球圏を捨てて外宇宙へスペース・コロニーごと逃れて去っていったらしいが、ステロたちはその映像に武人の栄光の時代を見て、ミリシャのミハエルたちは黒歴史の技術で地上のディアナ・カウンターを薙ぎ払えると昂揚してしまう。ギンガナムも、人間は戦争で生きてきたと、武人こそ人の正道だと確信してしまう。
 黒歴史の映像が出ていた頃、“ターンX”チームと“∀ガンダム”は共振していた。データが再生され、全ての機体のコントロールが利かなくなっていると気づく。
 映像は、遙か昔、壊滅した都市に向かって飛ぶ1機のターンタイプ。その背のハッチが開き、羽根のように広がる。羽根から振りまかれた鱗粉の輝きは都市を砂塵に変えていったという。
 ディアナはターン・タイプが文明を埋葬したことを説明し、ロランとギンガナムはお互いの乗るモビルスーツの正体を理解した。

【STAFF】
脚  本:高橋哲子
絵コンテ:赤根和樹
演  出:池端隆史
作画監督:佐久間信一
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